住宅の工法には大きく分けると、「木造軸組工法」「ツーバイフォー工法」
「プレバブ工法」「鉄筋コンクリート(RC)工法」の4種類があります。
以下、それぞれの工法の構造や特徴について紹介します。
日本古来の伝統的な工法で、「在来工法」とも呼ばれます。コンクリートの基礎の上に土台を敷き、その上に柱や梁(はり)などをタテ軸・ヨコ軸として組み合わせて、家の軸組をつくり、さらに筋交いという斜めの軸材を用いて、地震などに対する建物の耐久性を高めています。最近では、工場であらかじめプレカットした構造部材を使用することで、部材の均質化や省力化が図られています。この工法は、構造上の制約が比較的少ないので、カタチ・デザイン・間取りなど設計の自由度が高く、また、変形敷地などへの対応がしやすいことが特徴です。また、のちのちの増改築がしやすいことも、この工法のメリットの一つです。
北米で生まれたツーバイフォー工法は、床・壁・天井の「面」で箱のような構造体をつくります。これらの「面(パネル)」は、木材で組まれた枠組みに、構造用合板を貼ったものですが、枠材の断面寸法が2インチ×4インチであることから、ツーバイフォー(2×4)という名称が付きました。2×4以外にも、2×6インチ材・2×10インチ材を使うメーカーもあります。この工法は「面」で構造体を支えるため、外部からの力が1ヶ所に集中せずバランスよく分散されるので、地震や台風にも強い構造となっています。気密性や断熱性にも優れているのも、この工法の特徴で、冷暖房に使うエネルギーを節約できるので経済的です。

部材を前もって(Pre-)、工場で生産して(Fabricated)、建築現場で組み立てる工法を総称して「プレハブ工法」と呼びます。品質管理された工場で量産されるため、規格・品質・価格が安定しており、また、工期の短縮が図れるメリットがあります。プレハブ工法は、使用する部材によって「鉄骨系」「木質系」「コンクリート系」に分けられます。
(1)鉄骨系プレハブ工法
主要な構造体に軽量鉄骨を使用しており、軸組工法・パネル工法・軸組とパネルの併用工法に大別されます。軸組工法は、木造の軸組工法を鉄骨に置き換えたもので、材木の柱や梁の代わりに、軽量鉄骨で構造体を組み、筋交いに当たる鉄製のブレースにより強度を高めます。
パネル工法は、鉄骨の枠材にブレースを組み込んだ耐久壁パネルを現場で組み立てます。
併用工法は、軸組工法とパネル工法の、それぞれの長所を採り入れた工法です。鉄骨は狂いが少なく、また火災にも強いうえ、敷地への対応力も高いのが特徴です。
(2)木質系プレハブ工法
木材の枠組に、合板を貼ったパネルを工場生産し、それを現場で組み立てて床・壁・天井を造り上げる工法で、構造的にはツーバイフォー工法と同様の壁式工法の一つです。断熱性や、気密性に優れ、エネルギーの省力化が図れます。
(3)コンクリート系プレハブ工法
工場生産されたPC(プレキャスト)コンクリートパネルを現場で組み立てて床・壁・天井を造る壁式工法です。この工法は、強度が高いだけでなく耐久性・遮音性・断熱性・気密性にも優れています。但し、自重が大きいため、軟弱な地盤の場合、補強の必要が生じる場合があります。
(4)ユニット系プレハブ工法
プレハブ工法の工場生産化率をさらに高めた工法を「ユニット工法」と呼びます。住宅の本体だけでなく、諸設備、建具、内装、配管、配線などを組み込んだユニット(部屋)を工場で生産し、現場でこれを合体させます。80%以上が工場生産となるため、現場での工期を極めて短縮できるのが、最大の特徴です。構造材によって、木質系と鉄骨系に分類されます。

耐火性能に優れ、圧縮する力に対しては強いが、引っ張る力には弱いコンクリート。高熱には弱いが、引っ張る力に強い鉄筋。この両者を付着させて、より強度の高い構造体を造るのが鉄筋コンクリート工法です。柱と梁で力を支えるラーメン構造と、壁と床で組み立てる壁式構造とがあります。コンクリートという素材の特性から、一番の特徴としてあげられるのが耐久性で、法定耐用年数は60年です。
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